社会は自分を必要としていないのか

2012.01.07

東京・文京区にある短期賃貸型マンション。記録的な猛暑が続いた八月から九月初旬にかけて、北陸地方の中堅私立大学四年生の学生三人が一〇畳ほどの一室を借り、ここを拠点に東京で就職活動を行った。「地方にいると志望する大手企業の説明会がほとんど開かれない。昨年秋以来、企業説明会や面接を受けるため多いときは週に二〜三回、大阪や名古屋に通ったが、内定を得られないまま、とうとうアルバイトで貯めた就活資金も底をついてしまった。

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そこで、求人が多い東京の中堅・中小企業への就職に一縷の望みをつなぎ、「仲間三人で話し合って就活合宿を行った」のだという。カネは親から出してもらった。工学部生のA君は四社の面接を経て、大田区にある電子部品メーカーへの就職が決まったが、経済学部生の二人は1ヵ月近くかけて、それぞれ数社受験したものの不合格を通知する、いわゆる「お祈りメール」が送られてきた。B君はやむなく地元中小企業に志望を切り替え、現在も就活を続けているが、出口の見つからない厳しさに耐えられなくなったC君は早々と進路変更し、大学院進学を決めている。「受けても受けても不採用。社会は自分を必要としていないのか」東京の私立大学法学部四年の男子学生は、三年生の六月のインターンシップから始めた就職活動に今も終止符を打てないでいる。大企業約八〇社にエントリーし、三〇社を超す企業の面接を受けたが、ことごとく落とされた。すっかり自信をなくし、今夏、いったん就職活動を中断したあと、九月下旬から活動を再開した。しかし、大企業の採用はほぼ終了しており、中堅・中小企業の採用試験が断続的に行われているものの、残されたチャンスは多くない。それでも「今の時代、大企業だからといって安定しているとはいえない。中小企業でも優れた会社が少なくない」と大学のキャリアセンターから背中を押され、都内の数社の中堅・中小企業に足を運んだが、内定にまでたどり着けない。「出口が見えず、今までの人生で味わったことのないしんどさです。卒業した時期がたまたま就職氷河期だったからといって、他の世代より不利な扱いを受けるなんて」と頭を抱える。今は留年して再挑戦することも考えている。