旧友の転職

2011.12.24

我々は、とあるゼミの同窓会に出て、旧友のFさんが若くしてネットベンチャー企業の社長となって活躍していることを知った。会の間、Fさんは羨望の的だったが、同窓会から数日後にFさんから電話があり、相談を持ちかけられた。「仮に、もしもの話なんだが事業をたたんで、転職するとしたら、世話になれるかな?」内容が深刻だったので、我々はFさんに再度会って、詳しい話を伺うことにした。「実は、会社の資金の方が底をつきかけていて……。

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まだ、ダメと決まったわけではないんだけど、先々のことも考えなきゃいかんかなと思うようになってね」夢破れかけ、沈痛な面もちのFさんに、我々は型通りのアドバイスをすることしか出来なかった。「事業に失敗した過去を持った人でも、会社を設立したキャリアは子会社を作って事業を拡大しようと考えている企業では評価される。ただし、金銭がらみのトラブルは嫌われるから、会社の清算だけはキッチリした方が良い。あくまで一般論だけどね」Fさんは黙ってそれを聞いていたが、最後に「そうか。会社で失敗してもまだまだ俺を必要としてくれる所はあるんだな」と、いくらか表情を和ませた。そして我々が、人材バンク利用のために必要な手続き書類を手渡すと「いよいよとなったら、これを郵送するよ」と言って、胸ポケットにそっとしまった。